
アメリカ製の製品や技術を取り扱っていると、輸出する企業やメーカーの輸出管理部門で、「これ、デミに引っかからないよね?」とか「デミOK?」という言葉を耳にすることは多いのではないでしょうか?
今回は、その”デミニミス”について、輸出管理に関する重要なルール「EARのデミニミスルール(De Minimis Rule)」について、わかりやすくご紹介します。
そもそもEARとは?
まず、EARとは「Export Administration Regulations」の略で、アメリカの商務省が定める輸出管理規則のことです。
EARは、アメリカから輸出される製品だけでなく、海外で作られた製品にもアメリカの技術が使われている場合には、その製品も規制の対象になることがあります。
ここで登場するのが「デミニミスルール」。
これは、どれくらいの割合でアメリカの技術や部品が含まれているかによって、その製品がEARの規制対象になるかどうかを判断するルールです。
デミニミス(De Minimis)ってどういう意味?
「デミニミス(De Minimis)」とは、ラテン語で「ごくわずかな」という意味。
つまり、「ほんの少ししか含まれていないなら、そこまで厳しく規制しないよ」という考え方です。
ですが、その「ほんの少し」って、いったいどれくらいなんでしょう?

デミニミスルールの具体的な内容
このルールでは、外国(アメリカ以外)の企業が製造した製品に含まれるアメリカ由来の部品やソフトウェアの割合がポイントになります。
基本ルールは以下の通り:
25%以上のアメリカ由来のコンテンツが含まれている場合
⇒ その製品はEARの規制対象になります(※対象国以外への輸出に関しては)。10%以上の場合
⇒ もし輸出先が「米国が特に規制している国」(たとえばイランや北朝鮮など)なら、10%を超えると規制対象になります。それ以下の場合(25%または10%未満)
⇒ 原則として、EARの対象外になります。
この「含有率」のことを“アメリカ原産成分比率”と呼びます。
具体例でイメージしよう
たとえば、日本の企業がパソコンを作ったとします。
そのパソコンにアメリカ製のチップが含まれていたとしましょう。
このチップが、完成品全体の価値の20%を占めているならどうでしょう?
→ 通常の国向け輸出なら、EARの規制対象にはなりません(25%未満だから)。でも、それをイランに輸出しようとした場合は?
→ 10%を超えているので、EARの規制対象になります!
つまり、どこに輸出するのか、どれくらいアメリカ由来のものが含まれているかの“掛け算”で判断されるわけです。
なぜデミニミスルールが重要なの?
世界中の多くの製品には、アメリカ製の技術や部品が使われています。
つまり、日本やヨーロッパなどの企業が製造した製品でも、思わぬところでアメリカの規制に引っかかる可能性があるのです。
このルールを知らずに輸出してしまうと、罰金や信用失墜などのリスクがあります。
まとめ
EARのデミニミスルールは、ちょっと複雑に見えるかもしれませんが、基本のポイントは次の3つです。
1.アメリカ由来の技術や部品が何%含まれているか
2.どこの国へ輸出するか
3.その割合が10%または25%を超えていないか
輸出に関わる企業や担当者は、このルールをきちんと理解しておくことがとても大切です。