「経営・管理ビザ」 許可基準厳格化の見直し


某日、出入国在留管理庁が見直しを決めた「経営・管理ビザ」は、外国人がわが国で貿易業等の起業、既存の事業を経営もしくは管理する活動を行う際に申請が可能な在留資格です。

 

しかし、近年日本への移住を目的として「経営・管理」を悪用する外国人がいるという指摘や在留審査時に事業実態が無いことが判明したことにより、厳格な申請許可基準が求められていました。

既存の「経営・管理」許可基準が、諸外国の同様の制度よりも緩いため、悪用されているという課題を踏まえ、入管は許可基準のうちいくつかの見直し案が示されました。

 

以下に主な修正案(ほぼ確定)を記載します。

 

現行500万円である資本金・出資総額を3000万円に修正

・経歴、学歴では「経営・管理」経験3年以上又は、「経営・管理」に関する修士相当以上の学位保持を要件と変更。

・1人以上の常勤勤務の雇用や新規事業計画について中小企業診断士等の確認も義務付ける方向性。

要件見直しの方向性について、8月25日に開催された党外国人材等に関する特別委員会では出席議員から、入管が提示した方向性について、許可基準をより厳格化することを求めました。

 

以下に、「経営・管理ビザ」の新旧対照表を示します。

項目 旧制度 新制度
資本金 500万円以上 3000万円以上
常勤職員数 2人以上 1人以上
経歴・学歴 事業の管理に従事:3年以上の経験 以下のいずれかを満たす必要有
①経営管理関連分野の博士、修士又は専門職学位
②3年以上の経営・管理経験
事業計画 特になし 経営に関する専門的な知識を有する者による評価を受けたものを提出
要件 資本金又は常勤職員要件のどちらかを満たせばOK 資本金及び常勤職員要件の両方を満たす必要有

参考:「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令等の一部を改正する省令案」の概要丨出入国在留管理庁

 

出席議員からは、

「一定の日本語能力を求めるべきだ」、

「経営・管理の査証を作った本来の目的に一致した人材に許可を出しているのか」、

「学位証書が偽造される恐れも考慮した学位要件について検討を」、

「警察庁と綿密に情報共有をし、査証の更新前であっても、問題のある外国人は即座に査証を停止するべきだ」

 

という声が上がり、「経営・管理」基準を入管が見直すことを評価する一方で、逃げ道や隙を作らない査証の許可基準を設けるよう求めました。

 

同委員会では改めて見直しの内容について審議することを確認しました。

 

これにより、2025年10月に予定されている制度改正案により、申請要件がさらに厳格化される見込みです。このタイミングで経営管理ビザの取得を検討されている場合、新たな基準を理解しておく必要があります。

 

このことを踏まえ次項で、今後の「経営・管理ビザ」取得の4大要件について解説していきます。