キャッチオール規制の改正案(パブコメより)


こんにちは。

今日は「キャッチオール規制改正案」 について、できるだけわかりやすく整理してみます。

輸出に関わる企業や技術分野に携わる方には、実務的にも重要な内容です。


1. そもそも「キャッチオール規制」とは?

「キャッチオール規制」とは、兵器などに転用される可能性がある製品について、リストに載っていなくても輸出を規制する仕組みのことです。
例えば、半導体製造装置や工作機械、化学製品などは、本来は民生品であっても軍事利用される可能性があります。

そのため輸出先や用途次第では、輸出前に経済産業省の許可が必要となります。


2. 今回の改正のポイント

今回の改正で特に大きな変更は以下の通りです。

  • (1)対象品目の細分化
    従来は「包括的」に規定されていた対象品目が、

    • 兵器転用リスクの高い「特定品目」

    • それ以外の一般品目
      に分けられました。特定品目には半導体や一部の工作機械などが含まれます。

  • (2)一般国への輸出も要注意
    今までは「武器禁輸国」への輸出が主な対象でしたが、今回からは 一般国(中国など、旧ホワイト国以外の地域)向けの特定品目輸出 でも、用途や需要者によっては輸出許可が必要になります。

  • (3)ホワイト国(グループA国)も例外ではなくなる
    これまで完全に規制対象外だったホワイト国(グループA国)でも、経済産業省から「インフォーム(通知)」があれば輸出許可が必要になります。背景には、ホワイト国経由で第三国(例:ロシア)に迂回輸出される懸念があります。


3. 半導体や先端技術分野への影響

さらに、今回の改正では 21品目の先端半導体関連技術や量子コンピュータ関連品目 が新たにリスト規制に追加されました。
これにより、これらを扱う企業は 「自社製品が規制対象に当たるかどうか(該非判定)」を改めて確認する必要 があります。


4. 企業が注意すべき点

今回の改正により、輸出者は以下の点で追加対応を迫られることになります。

  • 特定品目を扱う場合、用途要件(どう使われるか)需要者要件(誰が使うか) を確認する義務。

  • 「明らかガイドライン」と呼ばれる基準を用いて、通常兵器の開発等に使われないかをチェック。

  • ホワイト国向け輸出でも、「インフォーム」が来た場合は必ず許可申請。

つまり、これまでよりも 「輸出先や用途を確認する負担が増える」 ということです。


5. 国際情勢との関係

今回の規制強化の背景には、

  • 米国やEUなどの同盟国との協調

  • 対ロシア制裁の強化

  • 中国企業の新規規制リスト入り
    といった国際情勢があります。
    中国政府はこの動きに対して「産業チェーンに悪影響を及ぼす」と反発しています。


まとめ

今回のキャッチオール規制改正は、

  • 輸出管理実務に大きな影響を与える

  • 半導体や先端技術分野の企業は特に要注意

     

というのがポイントです。

今後の政令の正式決定や経済産業省からの追加ガイドラインを注視しつつ、企業は 早めに社内体制を整えておくこと が重要になるでしょう。