レーザー測定データの標準不確かさの推定値(Si)の求め方


こちらでは、一般社団法人日本工作機械工業会(以下、日工会)輸出管理委員会の「UPR精度測定日工会ガイドライン」(以下、本ガイドライン)の測定方法による精度測定が困難又は不可能である場合に、中古機械に対する該非判定、特に下記に示す(2)、(4)の(Si)の求め方について解説します。(ちょっと難しい)

PA:位置決め精度、UPR:繰り返し精度

 

その前に、下記に本ガイドラインに示されてある中古機に対する判定方法の内容を抜粋したものを示します。

 


中古機に対する該非判定

中古機に対する精度測定に際し、本ガイドラインに則った測定ができない場合は、以下の(1)~(5) の優先順に従って該非判定を行うことが可能である。

 

(1)当該中古機の型式の有効なUPR申告値に基づく該非判定(非該当の判定は、出荷時以降UPRの変更を伴う改造が行われていないことが明らかな場合に限る)。

 

(2)当該中古機の型式の有効なPA申告値に基づく該非判定。

なお、ISO230-2(1988)の測定データにあるUPRをそのまま該非判定に利用することはできないため、当該データにある標準不確かさの推定値(Si)を求め、ISO230-2:2014に基づくUPRを特定してから該非判定に用いる(非該当の判定は、出荷時以降UPRの変更を伴う改造が行われていないことが明らかな場合に限る)。

 

(3)カタログ又は仕様書に記載されているUPR(R↑及びR↓のうち小さい値)が規制レベルに達した場合における該当判定(非該当の判定はできない)。

 

(4)工場出荷時のISO230-2(1987)又は(2006)に基づくUPRによる該非判定。

なお、ISO230-2(1988)の測定データにあるUPR値をそのまま該非判定に利用することはできないため、当該データにある標準不確かさの推定値(Si)の4倍を求め、ISO230-2:2014に基づくUPR値を特定してから該非判定に用いる(非該当の判定は、出荷時以降UPRの変更を伴う改造が行われていないことが明らかな場合に限る)。

 

(5)本ガイドラインによらない実機測定の結果、UPRが規制レベルに達した場合における該当判定(非該当の判定はできない)。

 


上記、(2)及び(2)中の標準不確かさ Siの算出手順は、以下のようになります。

 

該非判定への適用

求めた新しい UPR 値を、PA申告値と比較し、輸出管理該非判定を行います。

このように、ISO230-2(1988)測定データを直接利用するのではなく、ISO230-2:2014の方法に基づいて UPR を再計算し、それを基に該非判定を行うことになります。