仲介貿易取引許可について


仲介貿易取引とは?

仲介貿易取引について、外国為替及び外国貿易法(外為法)第25条第4項で以下のように定義しています。

 


外為法第25条第4項

居住者は、非居住者との間で、国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で(外為令)定める外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引を行おうとするときは、政令で定めるところにより、当該取引について、経済産業大臣の許可を受けなければならない。


 

法律用語では「仲介貿易」が使われますが、実際の国際ビジネスでは「三国間貿易」という言い方もよく使われています。

 

また、この仲介貿易根拠法令である、外国為替令第17条第3項を以下に示します。

 


(役務取引の許可等)

第17条 省略
2 省略
3 法第二十五条第四項に規定する政令で定める外国相互間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引は、次のいずれかに該当する取引とする。
一 輸出貿易管理令別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物の外国相互間の移動を伴う当該貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引
二 輸出貿易管理令別表第一の二から一六までの項の中欄に掲げる貨物の外国相互間の移動を伴う当該貨物の売買、貸借又は贈与に関する取引(当該取引に係る貨物の船積地域又は仕向地が同令別表第三に掲げる地域であるものを除く。)であつて、次のいずれかに該当するもの

イ 当該取引に係る当該貨物が核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置又はこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機であつてその射程若しくは航続距離が三百キロメートル以上のもの(ロ及び第二十七条第二項において「核兵器等」という。)の開発、製造、使用又は貯蔵(ロにおいて「開発等」という。)のために用いられるおそれがある場合として経済産業省令で定める場合に該当する場合における当該取引

ロ 当該取引に係る当該貨物が核兵器等の開発等のために用いられるおそれがあるものとして経済産業大臣から許可の申請をすべき旨の通知を受けた場合における当該取引
4 省略
5 省略


仲介貿易取引とは結局どういうこと?

上記の法令から、仲介貿易取引のポイントについて以下にまとめます。

 

・仲介貿易取引許可は居住者を規制対象としている。

輸出令別表第1の1の項の貨物の仲介取引、外為令別表の1の項の技術を記録した媒体の仲介取引は許可必要

輸出令別表第1の2~16の項仲介貿易、技術取引の船積み地又は仕向地の一方が輸出令別表第3の国なら、仲介許可は不要。

・船積み地又は仕向地の一方が輸出令別表第3の国でない場合でも、用途が大量破壊兵器でなければ許可不要。

・仲介貿易取引規制はすべて個別許可であり、包括許可制度は適用できない

・仲介貿易取引規制に輸出令第4条第1項第四号の少額特例は適用できない。(仲介貿易基本通達1(4) )

 


仲介貿易取引許可の申請の概要

仲介貿易取引許可の申請は、貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易審査課に行う。

仲介貿易取引許可の申請者は、仲介貿易取引を行おうとする居住者本人である。

※1件の移動に関して複数の居住者が非居住者との売買、貸借又は贈与の当事者となる場合には、それぞれの居住者が申請者となる。

 

海外支店が仲介貿易取引に係る行為を行う場合は本店が申請者となる。

仲介貿易取引を行おうとする居住者の代理である旨を記載した書面を添付する場合には、代理人が申請することができる。

 


仲介貿易取引許可の必要書類・提出書類は?

仲介貿易取引申請書の添付書類は、次のとおりとする。(貿易外省令第1条第2項)

 

(1).仲介貿易取引許可申請書(貿易外省令別紙様式第4)2通

(2).申請理由書  1通(用紙の大きさは、A列4番のこと)

※記載事項・・・チェックリスト受理番号、貨物名(商品名、型番及び等級)、契約の相手方(貨物を費消する者が異なる場合には、その者)の概要、当該貨物の用途、その他貨物が核兵器等の開発等に用いられるおそれの内容及び経緯やその該当項番等

(3).当該取引に係る各契約書、契約書の案、注文書その他取引の内容を確認できる書類  1通

(4).(2)(3)の書類の写しが原本と相違ない旨を誓約した証明書  1通

 

 

※契約書、注文書等の原本を提出する場合は、当該原本の写しを併せて提出するものとし、原本を提出せずに写しを提出する場合は(4)の証明書を提出するものとする。

なお、原本については内容確認の後、申請者に返却する。

※経済産業大臣が必要に応じてその他の書類の提出を求めることがある。

※仲介貿易取引許可証の内容変更及び有効期限の延長の申請の場合は変更許可申請書(貿易外省令別紙様式第5)を提出して行う。

 


仲介貿易取引許可の基準

仲介貿易取引の許可は、次の4つ仲介貿易取引許可基準により行う。

1.貨物が実際に「売り」、「貸し」又は「贈与」契約の相手方(別に需要者がある場合は需要者)に到達するのが確からしいか否か

2.申請内容にある「売り」、「貸し」又は「贈与」契約の相手方が貨物を使用するのが確からしいか否か

3.貨物が国際的な平和及び安全の維持を妨げるおそれのある用途に使用されないことが確からしいか否か

4.貨物が「売り」、「貸し」又は「贈与」契約の相手方によって適正に管理されるのが確からしいか否か

 

※仲介貿易取引の内容等により、上記の許可基準の一部を適用せず、又は外為法第67条第1項の規定に基づき必要な条件を付して許可することがある