
今回は、輸出の現場で大事になる「ものの出どころ」の話
農産物や加工品の輸出を考えている方、また貿易実務に関わる方にとって非常に重要な「原産証明」と「原産国ルール」について、分かりやすく解説したいと思います。
原産証明ってなに?
まず、「原産証明書」や「原産地証明書」とは、その商品がどこの国で作られたのか(=原産地)を証明する書類のことです。
英語では「Certificate of Origin(略して(CO)」と呼ばれています。
たとえば、「日本で収穫されたお米」や「佐賀県産のイチゴ」を海外へ輸出する場合、その産地が本当に“日本”であることを示す証明が必要になります。
この証明書があることで、輸出先の国では関税が安くなったり、輸入規制をクリアしやすくなったりするメリットがあります。
原産国ルールって?
次に、「原産国ルール」とは、“何をもってその商品を日本産とみなすのか”という基準のことです。
単純に「日本で作ったから日本産」と思いがちですが、海外から持ってきた材料を使ったり、部品だけ組み立てたりする場合など、原産国の判断が複雑になります。
主な原産国ルールにはこんなものがあります:
• 完全生産基準:農作物や天然資源など、その国で100%生産されたもの
• 関税分類変更基準(CTC):他国の部品を使っていても、完成品として関税の分類が変わっていればOK
• 付加価値基準(VA):商品の価値のうち一定割合以上がその国で付加されていればOK
• 工程基準(SP):その国で重要な工程(加工・製造)が行われていればOK
たとえば「日本で精米された米」は、原料が外国産なら“日本産”にはならない、というケースもあるんです。
なぜ原産証明が必要?
原産証明や原産国ルールが重要視される理由は大きく3つあります:
1.FTAやEPAなどの関税優遇制度を使うため
→ 証明があると、関税がゼロになるケースも!
2.輸入規制に対応するため
→ 原産国によっては、安全性や病害リスクの観点から輸入が制限されていることも。
3.トレーサビリティ(追跡可能性)や消費者の安心のため
→ 「どこの国のものかわからない食品」は、今や世界中で敬遠されがちです。
実際の取得はどうするの?
日本では、原産証明書は商工会議所などを通じて取得するのが一般的です。
また、農産物の場合は、自治体・JA・検疫所などが発行に関わるケースもあります。
「どこで育てたか」「出荷記録はあるか」など、しっかりした管理体制が求められます。
まとめ
下の表に「原産証明書」と「原産地ルール」についてまとめました。
用語 | 意味 | 主な用途 |
原産証明書 | 商品の生産国を証明する書類 | 輸出入・関税優遇・安全性確認 |
原産地ルール | どの国を「生産国」とみなすかの基準 | FTA・EPA適用判断、規制対応 |
最近は、日本の農産物や加工品を海外に売り込もうという動きが活発です。
でも、「輸出したい!」という気持ちだけでは通関できません。
“この商品は本当に日本産です”と証明できることが、海外との信頼関係の第一歩です。
行政手続きや書類の準備に不安がある方は、行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。
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