
世界の食料需給などをめぐるリスクが顕在化する中、国内で、唯一自給可能な穀物である米を原料とする米粉の活用が課題になってきました。
国は米粉の利用拡大に向け、その特徴を生かした商品の開発、需要拡大に対応するための製造能力の強化、米粉専用品種の生産拡大に向けた取り組みを集中的に支援しています。
5年前の1.7倍
米粉用米の需要が着実に伸びています。
農水省の統計によると、2017年度までは、2万トン程度で推移していましたが、2022年度の需要量は4.3万トンと過去最多を更新する見通しで、5年前の約2倍にまで増えてきました。
コロナ禍が続く中、米粉の家庭用の需要が好調で、消費者に米粉の利用価値が浸透してきたほか、業務用の需要も回復基調にあります。
米粉の「グルテンを含まない」と言う特徴を生かした「ノングルテン米粉第三者認証制度」の運用を2018年から開始したことも、米粉の重要量拡大の背景にあります。
日本米粉協会(制度の管理・運営) |
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登録認証機関 日本環境保健機構 |
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米粉(製造販売事業者) |
製粉コストの状況
民間では、米粉の利用拡大に向けて、製粉、コスト低減の取り組みのほか、グルテンを含まない米粉商品の開発、増粘剤や乳化剤などの代替品となりうる新たな米粉加工品(米ピューレ、アルファ化米粉等)を活用した商品の開発が進むなど、様々な取り組みが見られます。
しかし、小麦粉とのコストの比較では、原材料費こそ小麦粉60円/kgに対して、米粉50円/kgですが、製粉コストとなると、小麦粉50円/kgに対して、米粉は用途の違いによって、70〜340/kgと開きが大きく、そのまま製品価格に反映されています。
※新たな米粉加工品 : エースコックでは、米粉の需要拡大に取り組む「にいがた発・R10プロジェクト」の応援企画として、小麦粉の10%を米粉に置き換えた「うまさぎっしり新潟シリーズ」を製造・販売している。
⇧米粉製造用の機械
⇧米粉でできた商品
新たな米粉の活用と米粉用米の生産拡大
米ピューレは、米穀を加熱処理した後に裏ごしし、ピューレ状に加工してパンなどに利用され、乳化剤の代替品として利用できることから、保湿性に優れたパンの製造が可能になっています。
アルファ化米粉は、特殊な加工技術により、増粘多糖類や油脂などの代替品として、製パン時の粘度調節に使用されています。
さらに電子レンジで加熱するだけでできるグルテンフリーケーキのミックス粉なども開発されています。
また、米粉に適した米粉用米の生産量も全国各地で増加しています。
米の需要拡大に向けて、原料用米の精算では、パンに適した「ミズホチカラ」や麺に適した「越のかおり」など、各地において、加工適正や収量に優れた品種の開発も進んでいます。
国では、米粉商品開発等支援対策事業として、米粉を原料とする商品の開発や、米粉・米粉製品の製造に必要な機械の開発・導入に対する支援も行っています。
含有量 | 対象穀物 | |
グルテンフリー(欧米の基準) | グルテン:20ppm以下 | 大麦・小麦など |
ノングルテン(日本の基準) | グルテン:1ppm以下 | 米粉のみ |
小麦アレルギー表示 | タンパク質:数ppm以上 | 小麦のみ |