
消費税の仕組み上、大手輸出企業は還付金がもらえる?
「消費税」というのは、そもそも課税売上から課税仕入れを引いて、そこに税率をかけて計算するというものですが、実は輸出については非課税じゃないんです。
消費税率0%という法律になっています。
輸出企業というのは、外国に売る時は消費税分を値上げができないという理屈になっており、当たり前ですが、そうしないとこの仕組みになりたいからです。
だから0%です。
でも課税仕入れに対しては消費税を払っているので、課税仕入れの消費税額分が税務署から還付されます。
これが「輸出戻し税」という仕組みになっています。
例えば、全国の税務署のうち、豊田市の税務署の場合、4000億円ぐらいの赤字になっています。
税務署が赤字というと驚きですが、それは先ほど説明した、「輸出戻し税」があるためです。
これは巷では、事実上の「輸出補助金」と呼ばれています。
そもそもの始まりが、フランスの「付加価値税」と言われるもので、日本でいう「消費税」にあたります。
フランス政府がフランスの自動車会社ルノーを助けたいという意向がありましたが、すでに輸出補助金は禁止されていたため、どうにかして、ルノーに補助金を渡したいということで始めたのがこの付加価値税。
それを日本も継承しているため、考え方自体は消費税ですが、これは消費税ではなく、あくまで「付加価値税」。
ここで気づくと思いますが、消費税率が上げられれば上げられるほど、輸出戻し税は増えていくということです。
つまり、輸出企業に対する補助金が増えていくということになります。
不思議な話ですが、ここで「輸出戻し税」について疑問が浮かびます。
・消費税が増税された際に、輸出企業が輸出価格を引き上げられないとは限らない。(そもそも為替レートで価格は変動する。)
・消費税が増税された際に、輸出企業が下請けに価格引き上げを認めているとは限らない。
・消費税増税時に輸出企業が価格転嫁できないという理由で還付しているならば、価格転嫁できない国内企業にも認めるべきでは?
企業が、外国に製品や材を輸出して利益を出そうとする場合、税率の云々ではなく、売れるか売れないかが問題になるはず。
さらには為替レートによっても現地での価格が変動します。
それにもかかわらず、なぜか国内に対しては消費税率が必ず10%に乗せられ、さらには外国ではその分が乗せられないという、、
例えば、10%なら、その10%分を価格に上乗せします、そうしないと売上げが10%減るからです。(当然ですが)
日本国内の場合でも、仮に消費税率が10%に上がりました!となって、そのまま価格転嫁するかどうかは、値付けの問題であって、要は買う側が買えない価格にした場合には絶対買わないわけです。
というわけでこの問題、非常に矛盾を孕んだ考え方だと感じています。
つまり、外国ではなぜか消費税率は絶対上乗せできないが、国内では必ず上乗せするというような、そういう感覚になっているわけです。
アメリカのトランプ大統領は、以前から消費税ならぬ付加価値税について批判していました。
これは「輸出補助金だよね?」、「アメリカ企業が不利だよね」と。
それで、「関税措置をするぞ」というような発言をしていますが、これからどう動くのかは分かりません。
いずれにせよ、この「輸出戻し税」というのは、単純に輸出企業に対する補助金のようなもので、輸出企業あるいは大手輸出企業の優遇策になってるだけですよね。
なので「消費税」というのは廃止するべきだというのが私の考えでございます。