NACCS申請について


NACCS(ナックス)とは?

2022年7月以降、輸出許可申請は電子申請のみとなり、紙媒体での煩雑な手続きがなくなりましたね。

参照:経済産業省 安全保障貿易管理課

 

NACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)は、日本の貿易・物流に関する手続きを電子的に処理するためのシステムであり、1978年に導入されました。

主に通関業務、港湾・空港での手続き、貨物管理、税関や検疫手続きなどを一元化し、迅速化・効率化を実現する役割を担っています。

 

 


 

1.NACCSの概要

NACCSは、大きく分けて次の2つのシステムで構成されています。

① 貨物システム(Sea-NACCS / Air-NACCS)

  • 貿易・物流関連の企業(輸出入業者、通関業者、船会社、航空会社、フォワーダー、倉庫業者など)が利用
  • 輸出入通関、船舶・航空機の入出港、貨物の搬出入管理などを行う
  • 海上輸送向けの 「Sea-NACCS」 と航空輸送向けの 「Air-NACCS」 に分かれる

 

② 港湾システム(Port-NACCS)

  • 港湾管理者、税関、関連行政機関が利用
  • 船舶の入港・出港手続き、貨物のコンテナ管理などを支援

 

これらのシステムが統合的に機能し、関係機関や企業がリアルタイムで情報を共有できる仕組みになっています。

 

 


 

2.NACCSの主な機能

NACCSでは、輸出入業務に関わる様々な手続きをオンラインで行うことができます。

主な機能は以下のとおりです。

 

① 通関手続き

  • 輸入申告・輸出申告:電子申告により税関手続きを迅速化
  • 関税納付:電子決済に対応し、手続きを簡素化
  • 検査・許可通知:税関の検査結果や許可状況をリアルタイムで確認可能

 

 

② 船舶・航空機の入出港手続き

  • 入港・出港申請:船舶や航空機の入出港をオンラインで申請
  • 乗員・積荷情報の提出:事前に貨物情報を税関や港湾管理者へ提供し、手続きをスムーズに

 

 

③ 貨物の搬出入管理

  • コンテナ搬入・搬出管理:港湾・空港のコンテナヤードや倉庫の貨物搬出入状況を管理
  • 貨物の追跡:リアルタイムで貨物の状況を把握し、物流の可視化を実現

 

 

④ 関係機関とのデータ連携

  • 税関(Customs)
  • 検疫(植物・動物・食品・医薬品)
  • 港湾管理者・航空会社・船会社
  • 倉庫・フォワーダー
  • これにより、業務の一元化と迅速化が可能

 

 


 

3.NACCSのメリット

NACCSを利用することで、以下のようなメリットがあります。

 

① 業務の効率化

  • 申請手続きをオンラインで完結でき、書類の削減や業務の迅速化が可能
  • 各機関とのデータ連携により、手続きを一元管理できる

 

 

② 24時間対応

  • 時間や場所を問わず、インターネットを介して手続きが可能
  • 貿易・物流業務の迅速化に貢献

 

 

③ 貨物の可視化とリアルタイム管理

  • 貨物の状況をリアルタイムで追跡し、トラブル時の対応が迅速に行える
  • 税関や検疫機関との連携により、貨物の管理精度が向上

 

 

④ 安全で確実なデータ管理

  • システムのセキュリティ対策が強化されており、不正アクセスやデータ改ざんのリスクを低減

 

 


 

4.NACCSの利用者

NACCSは、以下のような企業・機関が利用しています。

 

利用者

主な利用目的

輸出入業者 貨物の輸出入申告・管理
通関業者 税関手続きの代行
船会社・航空会社 船舶・航空機の入出港申請
フォワーダー(物流業者) 貨物の搬出入手続き
倉庫業者 貨物の管理・搬出入
税関・検疫機関 貨物検査・許可手続き
港湾管理者 船舶の入出港管理

 

 


 

 

5.NACCSの利用方法

 

① 利用登録

NACCSを利用するためには、利用者登録が必要です。

  • NACCSセンター(NACCS運営機関)に申請
  • 利用契約を締結

 

 

② システム接続

  • 専用端末またはインターネット経由でアクセス
  • ID・パスワードを使用してログイン

 

 

③ 業務処理の実施

  • 取引に応じた申請・通関手続きを実行
  • 関係機関とのデータ連携

 

 


 

6.NACCSの導入背景と今後の展望

導入の背景

1970年代、日本の貿易量が増加し、通関手続きの負担が増大。

これに対応するため、通関業務を電子化し、迅速・正確に処理するためにNACCSが開発されました。

(農地転用など農地関連の手続きの増大・複雑化に伴うeMAFFの発足と似ています。)

 

今後の展望

  • AI・IoT技術の活用
    AIを活用した貨物管理やデータ分析により、さらに効率的な貿易手続きを実現
  • ブロックチェーン技術の導入
    データの改ざん防止やトレーサビリティ向上を目指す
  • グローバル化への対応
    他国の電子通関システムと連携し、国際物流の最適化を図る

 

NACCSは、日本の貿易・物流を支える重要な電子システムであり、通関・港湾・物流手続きを一元管理することで、業務の効率化や迅速化を実現しています。今後もデジタル技術の活用によって、さらに利便性が向上することが期待されています。