
まず、この意味が分からないアルファベット3文字(しかも2つ)の背景として、外務省HPの冒頭には「幅広い経済関係の強化を目指して、貿易や投資の自由化・円滑化を進める協定」という名のもと、各国が協力、発行しています。
そして、このアルファベット3文字の具体的な意味は何なのか?を下の表にまとめました。
「FTA」(Free trade Agreement) 「自由貿易協定」 |
外務省の定義では「特定の国や地域の間で、物品の関税やサービス、貿易の障壁などを削減・撤廃することを目的とする協定」とされています。 |
「EPA」(Economic Partnership Agreement) 「経済連携協定」 |
外務省の定義では「貿易の自由化に加え、投資、人の移動、知的財産の保護や競争政策におけるルール作り、様々な分野での協力の要素等を含む幅広い経済関係の強化を目的とする協定」とされています。 |
FTAは、締結国間で物品の関税やサービスの貿易を自由化することを目的としていますが、EPAはそれに加え、投資、人の移動の自由、知的財産の保護なども目的としており、EPAはFTAより幅広い分野での自由化を目指すものであるといえます。
FTAにしろ、EPAにしろ、関税率をWTO最恵国関税率よりさらに低くするまたは無税化するということが協定に含まれています。
販売対象国が日本とEPA・FTAを締結していれば、対象国側の輸入関税を抑えられることも多いです。
従って、
「対象国が日本とEPA/FTAを締結しているか」
「販売しようとする製品は、EPA/FTAによる特恵関税制度の対象となっているか」
(通常、EPA/FTA特定関税制度が適用されるかどうかは、品目ごと(HSコードごと)に定められています)
「EPA/FTA特定関税制度が適用された場合の関税率」
を確認しておくことが重要です。
これらについては、相手国側の「譲許表(関税率表)」で調べることができます。譲許表は税関のホームページに載っています。
なおEPA/FTA特恵関税制度を適用するためには条件があります。
それは「日本が原産地とされる製品であり、原産地証明を輸入通関時に提出すること」です。
原産地証明は、自社の管轄の商工会議所で取得することができます。
「原材料で輸入品を使っているのですが、原産地証明を取得できるのでしょうか?」
と言う質問を受けます。
国内で製造される工業製品で100%日本製の原材料を使っていることはまずなく、輸入原材料を使っているからといって、原産地証明が取得できないと言う事はありません。
日本製かどうかの判断基準は「実質的な変更を加える加工が日本国内で行われたかどうか」と言うことになります。
これはHSコードの変更(原材料から製品)などで判断されることになりますが、個別の判断となるので、商工会議所で確認してください。
また「国内で在庫している海外製の製品は、特恵関税制度の適用対象となるでしょうか?」
と言う質問もよく受けます。
これに関しては、海外製の製品であり、原産地証明取得はできず、特恵関税制度の適用対象とはなりません。
★日本のEPA/FTA等の状況
発行済・交渉済 (21か国) |
交渉中 (6か国) |
その他 (交渉中断中) |
シンガポール、メキシコ、マレーシア、チリ、タイ、インドネシア、ブルネイ、ASEAN全体、フィリピン、スイス、ベトナム、インド、ペルー、オーストラリア、モンゴル、TPP 12(署名済)、CPTTP、EU・EPA、米国、英国 | トルコ、コロンビア、日中韓、バングラディッシュ、GCC、UAE・EPA | 韓国、カナダ |
発行済み・署名済みのEPA/FTAは重複している場合があります。
例えばインドネシアの場合、日本はインドネシアとEPA(日本・インドネシア経済連携協定)を締結しています。
一方、インドネシアはASEAN加盟国なので、日本とASEANのEPA (日本・ASEAN経済連携協定)もあります。
この場合、どちらでも使います。
どちらを使う方が良いかは、それぞれの条件(関税率等)を調べて有利な方を使えば良いということです。
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