AEO制度の相互承認


AEO制度を施行している二国間で、それぞれAEO制度(AEO事業者)を相互に承認することにより、二国間物流におけるセキュリティーレベルを向上させつつ、相互に税関手続き上の便益を与え、国内外一貫した一層の物流円滑化を目指す二国間で取り決めています。

 

その取り決めで、両国税関当局は、輸出入貨物の審査・検査の際、当該貨物が、相手国のAEO事業者による輸出入貨物である場合には、その資格をリスク評価に反映することや、

 

自国のAEO制度に関して、相手国事業者を審査する場合に、当該事業者が相手国のAEO事業者であるときは、その資格を受け入れることなどが協定に盛り込まれています。

 

相互承認制度の実際の利用では、AEO事業者が持っている12桁の相互承認用コードを取引相手に送るとともに、先方からも送ってもらい、日本での輸出入申告の際には海外仕出し人・仕向け人コード欄にそのコードを入力します。

 

AEO相互承認によって、自社が関与する輸出入貨物について、日本税関だけでなく、相手国での税関手続きでも、リスクに応じて書類審査・検査の負担が軽減されるなどの追加的効果が発生し、さらに、AEOとしての企業ステータスが国際的に認知される、などの効果が得られます。

 

2024年7月時点で、日本は、

ニュージーランド(08年5月)

米国(09年6月)

カナダ(10年6月)

EU(同6月)

韓国(11年6月)

シンガポール(同6月)

マレーシア(14年6月)

香港(16年、8月)

中国(18年10月)

台湾(18年11月)

英国(20年12月)

タイ(22年4月)

とMRAを結んでいます。

 

 


 

相互承認相手国・地域での適用方法

下記の表にそれぞれの国のベネフィットを受けられる要件をまとめました。

 

相手国

相手国での輸入申告時

相手国での輸出申告時

中国

「日本のAEO事業者総合承認用コード」を次の①、②のいずれかの欄に入力することでベネフィットを受けることができます。なお、①と②の両方の欄へ入力することで最大限のベネフィットを受けることができます。

①輸入申告書の「海外荷送人」欄における「海外荷送人AEO企業コード」の欄。

②マニフェスト情報を税関に電子データで送信する際、海運、空運マニフェストの「荷送人AEO企業コード」の欄。

「日本のAEO事業者総合承認用コード」を輸出申告書の「海外荷送人」欄に入力することで、ベネフィットを受けることができます。

※海運、空運マニフェストへの入力は不要です。

台湾 輸入申告時に輸入申告フォーム(NX5105)の第30欄「賣方AEO編號」に「日本のAEO事業者相互承認用コード」(17桁)を入力することで、ベネフィットを受けることができます。 輸出申告時に輸出申告フォーム(NX5203)の第26欄「買方AEO編號」に「日本のAEO事業者相互承認用コード」(17桁)を入力することで、ベネフィットを受けることができます。
香港 取引相手に通知しなくても、正しい情報により申告されれば適用されます。 取引相手に通知しなくても、正しい情報により申告されれば適用されます。
韓国

以下の要領でベネフィットを受けることができます。

①御社の相互承認コードを在韓国の取引相手に通知する。

②取引相手に対し御社の「海外取引先番号(符号)」が発給される。

③取引相手は輸入申告時に御社「相互承認コード」および「海外取引先番号(符号)」を通関システムに入力する。

通関システムへの入力など要領等は現地税関当局にお問い合わせください。

(まずは皆様の相互承認コードを韓国の取引相手にお知らせください。)

マレーシア

通関システムへの入力など要領等は現地税関当局にお問い合わせください。

(まずは皆様の相互承認コードをマレーシアの取引相手にお知らせください。)

通関システムへの入力など要領等は現地税関当局にお問い合わせください。

(まずは皆様の相互承認コードをマレーシアの取引相手にお知らせください。)

シンガポール

TradeNetでの輸入申告において、以下の通り入力することでベネフィットを受けることができます。

「Customs Procedure Code(CPC)」欄:「AEO」

「Processing Code 1(CP1)」欄:「JP」

「Processing Code 2(CP2)」欄:「日本のAEO事業者相互承認用コード」

通関システムへの入力など要領等は現地税関当局にお問い合わせください。

(まずは皆様の相互承認コードをシンガポールの取引相手にお知らせください。)

タイ

輸入申告字に輸入申告フォームに以下のとうり入力することでベネフィットを受けることができます。

「MRA Country Code」欄:「JP」

「AEO(MRA)Reference number」:「日本のAEO事業者相互承認用コード」(17桁)

「AEO Exporter Name」欄:「特定輸出者一覧に記載されている英名」

ベネフィット適用なし。
米国・カナダ 取引相手に通知しなくても、正しい情報により申告されれば適用されます。 ベネフィット適用なし。
EU

マニフェスト事前申告(Entry Snmmary Declaretion)または税関申告(Customs Declaretion。マニフェスト事前申告の代替される場合)において、TARICコード※「Y031」及び「日本のAEO事業者相互承認用コード」(14桁)を入力することでベネフィットを受けることができます。

税関申告(Customs Declaretion)またはマニフェスト事前申告(Entry Snmmary Declaretion。税関申告が要求されなかった場合)において、TARICコード※「Y031」及び「日本のAEO事業者相互承認用コード」(14桁)を入力することでベネフィットを受けることができます。
英国

①日本のAEO輸出入者の方は、日英AEO相互承認用コードを各税関のAEO制度担当にご確認ください(日EU・AEO相互承認用コードを既にお持ちの方は、同じコードを利用できます。)

②日英AEO相互承認用コードを英国の取引相手にお知らせください。

③英国の輸出入者が、そのコードを事業者名とともに輸出入手続きの際に使用することで、英国での通関において皆さまの貨物がAEO相互承認のベネフィットを受けることができます。

①日本のAEO輸出入者の方は、日英AEO相互承認用コードを各税関のAEO制度担当にご確認ください(日EU・AEO相互承認用コードを既にお持ちの方は、同じコードを利用できます。)

②日英AEO相互承認用コードを英国の取引相手にお知らせください。

③英国の輸出入者が、そのコードを事業者名とともに輸出入手続きの際に使用することで、英国での通関において皆さまの貨物がAEO相互承認のベネフィットを受けることができます。

豪州

通関システムへの入力など要領等は現地税関当局にお問い合わせください。

(まずは皆様の相互承認コードを豪州の取引相手にお知らせください。)

通関システムへの入力など要領等は現地税関当局にお問い合わせください。

(まずは皆様の相互承認コードを豪州の取引相手にお知らせください。)

ニュージーランド 取引相手に通知しなくても、正しい情報により申告されれば適用されます。 ベネフィット適用なし。

 

※TARICコード:EUの共通関税率や、自主的関税停止や関税割当といった貿易政策による措置、関連規定などは「EU統合関税率(TARIC:Integrated Tariff of the European Union)」と呼ばれるデータベースにまとめられている。

日本のAEO輸出入者がEUにおいてベネフィットを受けるためには、マニフェスト、事前申告、もしくは税関申告のTARICコード所定欄に「Y031」が入力されることが必要。

 

参考:「AEOセンターの資料より作成」