
農地所有適格法人の設立方法と必要な手続き・書類
農地所有適格法人を設立するには、一般的な法人設立の手続きに加えて、農地法に基づく許可申請が必要になります。
ここでは、設立の流れや必要書類について、分かりやすく解説します。
1.農地所有適格法人の設立手続きの流れ
農地所有適格法人の設立は、大きく以下の6つのステップで進めます。
① 法人形態の選定(株式会社・合同会社・農事組合法人など)
農地所有適格法人は、以下の法人形態で設立できます。
法人形態 | 特徴 |
株式会社 | 出資者が株主となり、経営を取締役が行う。出資比率の調整が必要。 |
合同会社 | 株式発行がなく、出資者が経営に直接関与する形態。比較的自由度が高い。 |
農事組合法人 | 農業者が協同で運営する法人。農業者同士の共同経営に適している。 |
🔹 株式会社や合同会社は一般企業と同じ手続きで設立できますが、「農事組合法人」は農協や行政の監督があるため、手続きが異なります。
② 事業計画の作成
法人を設立する前に、以下のような事業計画を作成します。
特に「農地所有適格法人」として認められるためには、農業を中心とした事業計画が重要になります。
✅ 事業の概要(作物の種類・生産計画・販売ルート)
✅ 資金計画(運転資金・設備投資・収支計画)
✅ 経営体制(役員の構成・農業従事者の割合)
✅ 農地の取得・借入計画(どの地域の農地を取得するか)
🔹 農業委員会に事前相談すると、スムーズに進みます!
③ 法人の設立登記(法務局)
法人を設立するために、以下の手続きを行います。
📌 必要な書類
- 定款(会社の基本ルールを定めた書類)
- 発起人の決定書(株式会社の場合)
- 役員(取締役・監査役)の就任承諾書
- 資本金の払込証明書
- 登記申請書
- 印鑑届出書
✅ 登記申請は「法務局」で行い、手数料として 約6万円(登録免許税) がかかります。
✅ 電子定款を利用すると、印紙代(4万円)が不要 になるため、専門家に依頼するのもおすすめです。
④ 農地法の許可申請(農業委員会・都道府県知事)
法人を設立しただけでは、まだ農地を取得することはできません。
農地を所有するためには、農業委員会の許可を受ける必要があります。
📌 必要な書類
- 農地取得申請書
- 事業計画書(経営の見通し)
- 法人の定款・登記事項証明書
- 役員名簿(農業従事者の割合を示す)
- 出資者一覧(議決権の過半数が農業従事者であることの証明)
- 取得予定の農地の資料(地番・面積・地図など)
✅ 申請先:取得する農地がある市町村の「農業委員会」
✅ 審査期間:1ヶ月~3ヶ月
🔹 農地の取得には、農業委員会の審査をクリアすることが必須!
🔹 計画に不備があると許可が下りないため、事前に農業委員会へ相談するのがポイント!
⑤ 各種届出(税務署・市役所・年金事務所)
法人設立後、税務や社会保険関係の届出を行います。
📌 税務署に提出する書類
- 法人設立届出書(設立後2ヶ月以内)
- 青色申告承認申請書(節税のために必須!)
- 給与支払事務所等の開設届出書(役員や従業員を雇う場合)
📌 市町村役場に提出する書類
- 事業開始届出書(地方税の申告)
📌 年金事務所(社会保険関連)
- 健康保険・厚生年金の加入手続き(法人は社会保険加入が義務)
- 労働保険(雇用保険・労災保険)の加入手続き(従業員を雇う場合)
✅ 税務や社会保険の手続きは、税理士や社労士に相談するとスムーズ!
⑥ 農地の取得・契約(売買または賃借)
農業委員会の許可が下りたら、農地の売買契約または賃貸借契約を結びます。
📌 農地の取得方法
- 売買契約:法人が農地を購入(農業委員会の許可が必要)
- 賃貸借契約:地主から農地を借りる(農地法第3条の許可が必要)
✅ 取得後も農業を継続し、要件を満たし続けることが重要!
農地所有適格法人の設立にかかる費用
費用項目 | 金額目安 |
登録免許税(登記費用) | 約6万円 |
定款認証(電子定款なら不要) | 約5万円 |
設立手数料(専門家へ依頼する場合) | 10万~30万円 |
農地取得費用(売買・賃貸料) | 物件による |
✅ 設立費用の総額は約10万円~50万円程度が目安です!
農地所有適格法人の設立は計画的に!
農地所有適格法人を設立するには、一般的な法人設立の手続きに加え、農地取得の許可が必要になります。
特に 「農業を主業とする」「農業従事者の割合を守る」 という条件をクリアすることが重要です。
法人で農業を始めたい場合、農業委員会や専門家(行政書士・税理士)に相談しながら進めるとスムーズに設立できます!
興味がある方は、ぜひ計画を立ててチャレンジしてみてください! 🚜🌱