JAの存在意義


皆さんは「JA」と言う組織をどこまでご存知でしょうか?

 

そもそもJAと言うのは略称で、正式名称は「農業協同組合」といいます。

 

組織形態には、株式会社とか、合同会社、NPO法人や一般社団法人などたくさんの種類がありますが、JAは「共同組合」と言う組織形態になります。

 

同じ共同組合で有名なのは「生協(生活協同組合)」です。

 

さて、農業協同組合ことJAですが、JAには、その運営に関する法律、農業協同組合法(通称:農協)が定められていて、JAはこの農協法に則って運営されています。

 


JAの主な事業とは?

農協法に則った、JAの組織運営には次のような特徴があります。

 

★組織の代表や運営者は、農家の代表で選挙で選ばれる。職員はその指示を受けて業務を代行する立場。

★原則、手数料商売しかできない。

★ 1つの組織の中で、金融事業が認められている。

 

 

JAには次の5つの主な事業があります。

簡単に解説すると、

 

販売事業 : 農家の農畜産物の販売代行・支援

購買事業 : 農家に資料や農薬や農業機械など、農業生産に関わるものを販売する事業

指導事業 : 農家の農業生産の指導を行う事業

共済事業 : 各種保険の販売

信用事業 : 銀行と同じ業務で、貯金や資金の貸付を行う事業

農業経営に直接的に関係するのは「販売事業」「購買事業」「指導事業」になります。

 


JAはよく批判されてるけど実際は?

世間一般では、どちらかと言うとJAは批判の対象になっているという感触があります。

 

「JAは利用したくないが、他に選択肢がないから仕方なく利用しているんだ」と言う声も聞こえてきそうですが、選択肢を増やすのは他人ではなく、農家自身です。

 

1つだけ誤解を解いておくとすれば「JAの利用を強制される」とか「JAを利用しないと意地悪される」という事は、少なくとも現在ではありえないのでご安心ください。

 

おそらく上記の内容で最もその理由にあげられるとすれば、農家さんが汗水流して作った青果物に対する価格がすべてJAの決定権になっていることが想像できます。

 

卸売市場出荷は、原則的に相場で価格が決まりますので、農家に価格決定権も価格交渉権もありません。

 

ちなみに、JAに出荷すると、JAが買い取るのではなくて、JAが農家の作ったものを集めて、消費地である都市部の卸売市場にまとめて出荷するという流れになります。

 

農家個人で都市部の卸売市場に出荷しても、出荷する量がまとまらず、配送運賃が高くなってしまい採算が取れないからです。

 


JAが農家から徴収する費用や手数料は?

 

農家から出荷された青果物の集荷と配送手配などを行い、都市部の卸売市場に出荷を代行するのが仕事になります。

 

配送運賃などの必要経費は実費を農家に請求、

そして卸売市場での販売価格から規定の手数料をJAの人件費等のために差し引いて、残りを農家に返金すると言う流れになります。

 

ちなみに、JAの手数料は、数%%(5%以下)のところがほとんどです。

 

JAの手数料は組合員なら誰でも知ることができますので、販売担当者に確認してください。

 

その時に、JAの手数料と集出荷場の使用料や配送運賃、段ボール等の資材代といった実費で支払う経費や部会費、販売促進、紙等の名目で差し引かれる経費はJAの手数料と別なので、必ずどんな項目でそれぞれいくらの金額が販売代金から差し引かれて口座に入金されているのか把握するようにしてください。

 


卸売市場出荷(JA経由を含む)のメリット

卸売市場出荷では、農家の側には価格決定権は無いのですが、好きなときに好きなだけ農家の都合に合わせて出荷することができます。市場側は、出荷したものは全て受け取って価格をつけてくれます。

 

これ卸売市場法で定められた「受託拒否の禁止」の項目があり、正当な理由がある場合を除き、卸売市場は農家が出荷したものの引き受けを拒んではいけないからです。

 

 

一方、農家が価格決定、もしくは価格交渉はできるけれど、必ず売れるとは限りません。

JAと卸売市場を活用することは、時間の有効活用にもつながります。

なぜなら、農業生産と営業活動のバランスを取ることができるからです。

 

自分で売ると営業活動が必要になってきます。

今までJAや卸売市場に出荷していた方は、ほぼ営業活動をしたことがありません。

そもそも営業ができるのかとうう問題もありますし、営業活動の時間をどうやって捻出するのかという課題も出てきます。

 

JAや卸売市場出荷は、営業活動が基本的にないので、ほぼすべての時間を農業生産の時間に当てることができます。

 

持ってきた農家が急に自分で売るからと営業活動を始めて、今までのように農業生産に時間を費やせるのか、これまでと同じような農業生産活動ができるのでしょうか。

 


JAや卸売市場出荷でも金持ち農家になれる

JAや卸売市場出荷では儲からないからといって、他の販売方法に頼っても儲かりません。

なぜなら、儲かっていない原因は販売方法だけとは限らないからです。

 

JAを活用した卸売市場への結果は非常にリスクの少ない取引だと思います。

価格は相場なので、ほぼ全国一律価格です。

つまり、みんな同じ価格だということ。

 

売上に差が出てくるのは、出荷量と秀品率の違いです。

これは販売のスキルではなく、農業生産のスキルで決まります。

 

逆に自分で売ることにはリスクもあります。

1つは農業生産だけでなく、営業活動の時間を捻出しないといけないこと。

今まで農業生産だけをやっていた農家が、営業活動の時間を作り出すには、農業生産を任せる人を育てるか、自分自身の働く時間をさらに増やすかの2択しかありません。

 

つまり、今の農業生産を維持できるかどうかがリスクになります。

 

もう一つは営業しても売れるとは限らないし、売れても取引が続くかどうかはわからないことです。

取引先からストップがかかるかもしれないし、相手が倒産する可能性もあります。

 

JAや卸売市場出荷でも儲かる農家になれます。

現にJAや卸売市場出荷のみで儲かっている農家さんが多くいらっしゃるのも事実です。

 

反収を高め、多く出荷し、品質を高めることで、単価も上げることができます。

地域で自主的に勉強会を開催し、どの時期に、どんな品質のものを作れば、高値で取引され、手元に一番お金が残るか。

そのためには、どんな農業生産をしていけばいいのか?

 

自分で売らなくても、手元にお金が残る金持ち農家になる事は可能ということをお伝えしたかったです。