在留資格「経営・管理」の上陸許可基準


上陸許可基準とは

上陸許可基準は、入国・在留する外国人が日本に及ぼす影響等を勘案した上、在留資格該当性と併せてさらに厳格な審査が必要と認められた在留資格にのみ設けられています。

 

上陸許可基準が設けられているのは活動類型資格の中の一部のみで、その他の在留資格については上陸許可基準は設けられていません。

 

在留資格ごとに設定されている日本に上陸するための条件は、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令という入管法を運用する上での決まり事の中で定められています。

 


 

「経営・管理」ビザの上陸許可基準

では、実際に出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令中にある在留資格「経営・管理」の上陸許可基準の内容下記にを抜粋しました。

 

【第1号】

申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、事業が開始されていない場合、事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。

・経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること

・財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること

 

【第2号】

申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。

・その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤職員(法別表第1の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。

・資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。

・上記に準ずる規模であると認められるものであること。

 

【第3号】

事業の管理に従事しようとする場合、事業の経営又は管理について3年以上の経験(大学院において経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合における報酬と同等額以上の報酬を受けること。

※出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)

 


 

経営・管理の在留資格に該当する範囲

 本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動の範囲は、以下の表の範囲になります。

(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)

経営・管理の在留資格に該当する範囲

本邦において事業の経営を開始してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動 本邦において既に営まれている事業に参画してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動 本邦において事業の経営を行っているもの(法人を含む)に代わってその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

 

★申請人が取得した株式や事業に投下している資金の出所等の事業の開始に至る経緯全般から、申請人が単に名ばかりの経営者ではなく、実質的に当該事業の経営を行うものであるかどうか。

★外国人が経営又は管理に従事する事業が安定して営まれるものと客観的に認められること。

 


 

手続きの具体的な流れ

初期面談
・非居住者の場合、Zoomなどで打ち合わせを実施。

申請内容の詳細打ち合わせ
・(短期滞在(商用)で来日)
・事業計画ヒアリング
・共同代表がいない場合は原則来日
・※代理申請について

※本邦事業所の設置について委託されていることが分かるもの(当該委託に係る契約書等) 提示に
ついて、本邦に新たに事業所を設置する場合であって、事業所の経営者又は管理者が不在の間の事
業所設置業務全般を任されている方が該当し、併せて身分を証する文書の提示も必要となります。

在留資格認定証明書上の氏名と旅券(パスポート)上の氏名の表記が異なる場合には、入国までの
各手続において確認を行う等により、手続に時間を要する場合がありますので、提出が可能な場合
には申請時に旅券(パスポートの写し)を併せて御提出ください。

※出入国在留管理局ウェブサイトより抜粋

共同代表者の選定
・現在外国居住の方が日本に法人を設立する場合には、標準的な方法として、法人共同代表を知人等に依頼し、法人設立関係の処理を行います。
・参考:外国人・海外居住者の方の登記

海外からの送金・出資金払込

事務所賃貸開始

会社設立
•印鑑の作成
•定款作成、登記
•法人口座開設(許可後でも可)
•資金移動(個人→法人)

税務関係届出・会計記帳開始
•都道府県税事務所、税務署、市区町村
•税理士契約の準備
•現金出納簿、領収書等の管理を指示

事務所準備
・看板、オフィス用品、通信環境等の準備(店舗の場合は店舗も準備・一部仕入)
・事務所は業種により、許認可上の要件を満たすものを賃貸する
・事務所等写真撮影

許認可申請

例:古物商取引許可、飲食業営業許可、建設業営業許可等

地方出入国在留管理局へ申請(取次ぎ)
・在留資格変更許可申請
・在留資格認定証明書交付申請
・(追加資料の提出)

帰国

許可(交付)
・在留資格変更許可(在留カード交付)
・在留資格認定証明書交付
・不許可の場合は、不許可理由のヒアリングに同行し、再申請を検討

査証発給申請
・在外公館において、査証発給申請を行います

再来日

事業開始/その他
・共同代表辞任(登記)
・労務関係届出

 

上陸許可基準は、法律上上陸を許可するか否かを判断するためのものでしかありません。

しかし、実務上は在留資格変更・更新の許可の可否に強く影響を及ぼします。


これは、『在留資格変更・更新ガイドライン』の項目として上陸許可基準適合性が挙げられており、さらには在留資格の変更・更新の許可の判断は法務大臣の自由な裁量に委ねられているという事情によるものです。