
今回は、最近よく耳にする「貿易の自由化」や「FTA・EPA」。
この流れの中で、日本の農業が今、大きな課題に直面しているんです。
それはズバリ、「自由化と買い叩き」。
そしてそこにさらに追い打ちをかけている「種苗法」(しゅびょうほう)改正について、わかりやすくお話しします。
いったい何が起きているのか、私たちの暮らしとどう関係するのか、やさしく解説していきます。
「農業って大変そうだなぁ」とは思っていても、実際に何が起きているのか知らない人も多いはず。
このブログでは、できるだけ専門用語を使わずに、背景や現状をかみ砕いてお伝えします!
自由化と買い叩きのダブルパンチ
日本の農業は今、貿易自由化の波にのまれています。
自由化とは、関税などの貿易のルールをゆるくして、モノのやりとりを自由にする動き。
たとえば、FTAやEPA(経済連携協定)などがこれにあたります。
この動きによって、海外の安い農産物がどんどん日本に入ってくるようになり、国内の農産物の価値(価格)が下がり続けています。
これは現在のインフレによる価格上昇に伴うものではなく、例えば日本で生産(国産)された農産物の品質が、海外産(米など)とさほど変わらなくなっている、要は品質の部分で価格に転嫁できなくなっているということです。
それに加えて、市場や業者による「買い叩き」。
農家さんが一生懸命育てた作物も、安く買い取られてしまうのが現実です。
例:トマト農家さんの嘆き
あるトマト農家の方が言っていました。
「大事に育てて出荷しても、1箱100円しか利益が残らない。バイトの時給以下ですよ。」
悲しいですよね…。
人手も時間も愛情もかけてつくった作物が、そんなにも安く扱われてしまう現実。
自由化の波は止まらない。でも、守るべきものは?
グローバル化が進む今、貿易の自由化は止まらない流れかもしれません。
でも、それによって私たちの食の安全や農業の持続可能性が脅かされるのは、見過ごせない問題です。
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国産の食べものが減る
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農家のなり手がいなくなる
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地域の農村が衰退する
こうした未来は、決して“他人ごと”ではありません。
さらに追い打ちをかけた「種苗法の改正」
この「自由化+買い叩き」で苦しんでいる農家さんたちに、さらに重くのしかかっているのが、2020年に改正された「種苗法」です。
★種苗法ってなに?
種苗法は、ざっくり言えば「種や苗(なえ)をどう扱うか」を定めた法律です。
もともとは、良い品種の開発者を保護しつつ、農家さんにも種を自由に使ってもらうバランスが取れていました。
ところが、2020年の改正で自家増殖(農家が自分で種を取って翌年も使うこと)が原則禁止されるようになったのです。
もともと、種を安く、安定的に供給できるように、政府や行政機関が種を管理するために作られた法律です。
種を「企業から毎年買わないといけない」時代に?
これにより、多くの農家さんは、毎年、企業から種や苗を買わなければならなくなったのです。
しかも、その種は安くはありません。
企業が独占的に開発・販売する品種(「登録品種」と呼ばれます)の中には、1袋数千円~数万円するものも。
★どうなるの?
農家さんの負担がさらに増えます。
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「自由化」で作物の価格が下がる
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「買い叩き」で収入が減る
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「種の購入義務化」でコストが増える
これ、もう三重苦です。
特に、米農家にとっては深刻です。
かつては、前年に収穫した稲から種をとって翌年も栽培する…というサイクルが普通でした。
それが、禁止され、種を買う義務が生まれることで、経営を圧迫しているのです。
なぜこんな改正がされたの?
改正の背景には、「日本で開発された優良な品種が海外に流出するのを防ぎたい」という理由がありました。
たしかに、知的財産の保護は大切です。
でも一方で、「企業が種を独占する仕組みを作った」と批判されるのも事実。
農家の声が十分に反映されていないと感じる人も多いのです。
私たちにできることはある?
私たち消費者ができることは、意外とあります。
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地元の農産物を選ぶ
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種の問題に関心を持つ
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地域の農家を応援する取り組みに参加する(ふるさと納税、直売所利用など)
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政策や制度の変化に目を向ける
農業は「誰かがやってくれるもの」ではありません。
私たちの毎日の「食」は、現場の農家さんの努力に支えられています。
まとめ
テーマ |
内容 |
自由化 | 海外の農産物が安く輸入されやすくなる |
買い叩き | 日本の農家が安い価格で作物を売らされている現実 |
問題点 | 農業の収益が下がり、持続が困難に |
私たちにできること | 国産品を選び、農業を応援する選択をする |
「自由化=悪」ではありません。
でも、そこに生まれる“ひずみ”に目を向けることも大切です。
この内容が、少しでも日本の農業について考えるきっかけになったらうれしいです!