農地転用(3条許可)許可が必要なケースや注意点


今回は、農業に関わる土地の売買や賃貸借を考えている方、もしくは不動産や建設業に関わる方にとって非常に重要な「農地転用(3条許可)」について詳しく解説します。

「そもそも農地転用って何?」

「3条許可ってどう違うの?」

「どんなときに許可が下りないの?」

といった疑問にも、具体例をまじえて分かりやすくご説明します!


そもそも「農地転用」とは?

農地転用とは、農地を農業以外の目的で利用することを言います。
たとえば、

  • 田んぼを駐車場にする

  • 畑を住宅用地にする

  • 農地を資材置き場にする

など、農業以外の使い方をする場合、原則として都道府県知事などの許可または届出が必要です。


「農地法3条許可」とは?

農地法には「3条」「4条」「5条」と複数の許可制度がありますが、今回取り上げるのは【農地法第3条】による許可、通称「3条許可」です。

★農地法3条許可のポイント

  • 農地として使う前提で、農地の所有者を変えること(=権利の移転)に必要

  • つまり「農地のまま売買・賃貸借・贈与などをする場合」が対象


★具体例

【3条許可が必要なケース】

  • Aさんが持っている農地を、Bさん(農家)が農業目的で買い取る

  • 農地を親から子に相続し、その後子が農業を継ぐ(ただし一部は届出で足りるケースも)

  • 地主が農地を貸し出して、借り手が農業を行う

【3条許可では足りないケース(別の条文が必要)】

  • 農地を駐車場にする → これは農地以外の用途になるので「4条許可」が必要

  • 農地を売って買主が住宅を建てる → 所有権移転+用途変更なので「5条許可」が必要


許可が下りないケースとは?

3条許可は「農地としての利用」が前提なので、以下のような場合は許可が下りないことがあります。

【許可が下りにくい例】

1.買主が農業をやる意思・能力がない場合

実際に農業経験がない、農業委員会の面談で準備不足など

2.既存の農地が適正に管理されていない

荒れて雑草だらけになっていたり、無断で資材置き場にされている場合など

3.購入後の営農計画が不明確

「とりあえず買ってから考える」では許可されません

4.農地として維持が困難な立地

山間部や極端にアクセスが悪いなど、実質的に営農が困難な場所


3条許可を取得するには?必要な手続きと流れ

一般的な流れ

1.農業委員会へ事前相談

2.必要書類の提出

・権利移転に関する契約書(売買・賃貸借)

・営農計画書

・資産状況や農業経歴など

3.農業委員会・市町村の審査

4.許可通知の発行

※ 手続きにかかる時間は1~2か月程度が一般的。地域によって異なります。


よくある誤解

「農地のままだから自由に売買できるでしょ?」
⇒ NGです! 農地を売ったり貸したりするだけでも、農地法の許可が必要です。

許可なく権利を移転すると、契約が無効になる可能性があり、罰則の対象にもなります。
「農地は特別」と覚えておくのが大切です。


まとめ

ポイント

内容

農地転用 農地を農業以外に使うこと(駐車場・住宅など)
3条許可 農地を「農地のまま」売買・貸借・贈与するために必要
必要条件 相手が農業を適切に行える体制・計画があること
許可が不要になることは? 原則なし。
ただし相続や農業委員会指定の場合、届出で済むケースあり

農地の売買・貸借を検討している方は、必ず事前に農業委員会へ相談しましょう。
知らずに契約して後からトラブルになるケースも少なくありません。

この記事が、農地取引に関わる皆さんのお役に立てば幸いです!