輸出許可不要となる特例②無償特例


 

規制対象となる貨物(モノ)や技術(情報等)を海外へ輸出(提供)する場合は経済産業大臣の許可が必要です。

ただし、本来は許可が必要な取引であっても、例外的に許可が不要となるケースもあります。

許可が不要となる例外等は貨物と技術について、それぞれに定められており次の様なものがあります。

 

・少額特例(貨物)

・無償特例(貨物)

・許可を要しない役務取引(技術)

 

輸出許可申請前にこれから輸出する貨物・技術がこの例外に該当しないか確認します。

該当する場合は、許可申請手続きを経ることなく輸出できます。

 

※:武器(輸出貿易管理令別表第1の1の項)には適用されません。

今回はこの中の②無償特例について説明していきます。  

 


 

無償特例(貨物)

 

無償特例とは、「無償で輸出すべきものとして無償で輸入した貨物」および「無償で輸入すべきものとして無償で輸出する貨物」について許可が不要となる特例です。

例えば、一度許可を得て輸出した貨物が輸出先で故障し、修理のため返送(輸入)され、修理後に再輸出するようなケースです。

 

このような場合は無償(対価発生なし)で再輸出されることが多く、この特例により改めて輸出許可を取ることなく輸出できます。

無償で輸出入する場合でこの特例が適用される場合には、次のようなものがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無償特例が適用される主な場合 

(参照:輸出貿易管理令第4条1項第2号ホ、へ)

 

無償で輸出すべきものとして無償で輸入する貨物>

※1項貨物適用外

※1~5は北朝鮮を除き、3~4は懸念国も除く

 

1.本邦から輸出された貨物で、本邦で修理後再輸出されるもの(※

2. 本邦で映画撮影をするため入国した者が輸入した映画撮影用の機械等

3.本邦で開催の博覧会等に海外から出品された貨物で、輸出した者に開催終了後返送されるもの

4.保税展示場で開催の国際博覧会等の運営、施設の建設、維持撤去に必要な貨物で、開催終了後返送されるもの

5.物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約により輸入された貨物で、通関手帳で輸出されるもの

6.一時的に入国して出国する者が携帯(OR税関申告し別送)する特定の貨物(※)で、本人使用と認められるもの

7. 一時的に入国して出国する者が携帯(OR税関申告し別送)する特定の貨物(※)で、本人使用と認められるもの

 

修理した貨物が本邦から輸出したときの仕様から変更のないこと。修理は1対1の交換を含み、当該修理が無償か有償かを問わない

9項の(7)~(11)貨物等省令第8条9号~12号のいずれかに該当するもの(通信装置等)

12の項貨物等省令第11条13号に該当するもの(自給式潜水用具)

 

 

無償で輸入すべきものとして無償で輸出する貨物>

1.国際緊急救助で派遣される救助隊が活動するために輸出する貨物で、終了後本邦へ輸入(返還)するもの等

2.原子力事故等における援助を要請する条約締約国に輸出する資材等で、終了後本邦に輸入するもの

3.一時的に出国する者が携帯(or税関申告し別送)する特定の貨物(※)で、本人使用と認められるもの

 ※9項の(7)~(11)で貨物等省令第8条9号~12号のいずれかに該当するもの(通信装置等)

 

 

 

 


 

該非判定や客観要件確認の結果、輸出許可申請が必要となった貨物や技術を輸出する場合、事前に経済産業大臣の輸出許可を取得しなければいけません。

 

輸出許可申請・・・貨物(モノ)を輸出する場合

役務取引許可申請・・・技術(情報等)を提供する場合

 

許可の難易度は、貨物の種類や仕向地、需要者により変わり、必要な書類や審査期間も異なります。

 

参照:経済産業省のホームページ「許可が不要となる場合(貨物)

その他ご不明な点等ございましたらお気軽にご連絡ください。