インコタームズとは何か


今後、輸出への新規参入を考えていらっしゃる方が知っておかなければならないルールがあります。

 

海外の取引のスタンダードや約束ごとである、インコタームズ(International Rules for Interpretation of Trade Terms) という国際ルールのことです。

※1936年に国際商業会議所(ICC)によって定められた貿易取引に関する国際ルール。

 

  世界の貿易はこのインコタームズ中心で動いているのである。

 

ところが、日本でインコタームズをわかっている人は、輸出入ビジネスの専門業者ぐらいしかいないように感じます。

 

それだけ日本では認知度が低いということです。  

 

輸出ビジネスに新規参入しようとするなら、インコタームズをきちんと把握しておく必要があります。

 

これは法律ではないから絶対従うべきものではないのだが、商慣習としてほとんどの業者がそれに則ってやってきているので、知らないのは致命的になります。  

 

具体的には下図のようなイメージで、国際貿易において発生するさまざまな費用やリスクを売主と買主の間でどちらがどこまで負担するのか、その線引きを分かりやすくすることが目的でアルファベット3文字で表記します。

 

 


 

ではその「インコタームズ」の最新版である「インコタームズ2020」の代表的な8つを紹介します。

(参考:JETRO 日本貿易振興機構 貿易・投資相談Q&A)  

 

EXW(Ex Works):工場渡し

売主(輸出者)は自社の工場や施設もしくは指定の場所で荷物を買主(輸入者)に引き渡し、費用やリスクは買主(輸入者)がすべて負担します。

 

FCA(Free Carrier):運送人渡し

売主(輸出者)は指定された地点で荷物を買主(輸入者)が指定した運送業者に引き渡します。引き渡し後の費用やリスクは買主(輸入者)が負担します。輸出通関は売主(輸出者)が負担します。また引き渡し場所が売主(輸出者)の施設内の場合、売主(輸出者)は積み込みの責任を負担しますが、それ以外の場合は売主(輸出者)は積み込みの義務を負いません。

 

FOB(Free On Board):本船渡し

本船に詰み荷が乗った時点(本船の甲板に乗るまで)で買主(輸入者)側の責任になります。

輸出側の国内の輸送費は売主(輸出者)が負担し、海上運賃と上陸してからの輸入費用は買主(輸入者)側の負担します。

 

CPT(Carriage Paid To): 輸送費込み

売主(輸出者)は航空機に荷物を積み込み、指定された目的地まで運ぶ費用を負担します。ただし、航空機への積み込み後の損害や紛失については買主(輸入者)が負担します。

 

CIP(Carriage and Insurance Paid To):輸送費保険料込み

CPTと同様に売主(輸出者)は航空機に荷物を積み込みますが、買主(輸入者)が指定した場所まで運ぶだけでなく、荷物の保険をかける責任も負担します。

 

DAP(Delivered at Place):仕向地持込渡し

売主(輸出者)は荷物を指定された目的地までの輸送を負担します。荷物の荷卸しおよび輸入手続き、関税・消費税は買主(輸入者)が負担します。

 

DPU(Delivered at Place Unloaded):荷卸込持込渡し

売主(輸出者)は荷物を指定された目的地で荷卸しするまでの責任を負担します。輸入通関、関税・消費税は買主(輸入者)が負担します。

 

DDP(Delivered Duty Paid):関税込持込渡し

売主(輸出者)は荷物を指定された目的地まで運び、関税・消費税を含むすべての費用とリスクを負担します。  

 

 


 

インコタームズはどこに記載するのか?

インコタームズは「インボイス」と呼ばれる言わば請求書に記載されます。

インボイスとは、売主(輸出者)から買主(輸入者)に対して請求金額や取引詳細を記載した書類のことです。

インボイスにインコタームズを記載することにより、輸出や輸入の際の手続きや通関などの手配がスムーズに進められるといった利点があります。  

 

例えば「FOB Yokohama」といった具体的な取引条件を記載します。 

 

この国際貿易条件を表すインコタームズは、荷物が引き渡される時点での責任とリスクの分担を示しているため、関税やその他の税金の評価となる申告価格において用いられるインコタームズ(建値)とは異なる概念で用いられることがあります。

 


 

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