
先日、経済産業省が重要な技術の軍事転用を防止するために、外為法の輸出管理制度を改正すると発表しましたね。
対象品目は、先端半導体や量子コンピューター関連など21品目です。
輸出許可を必要とする「リスト規制」にこれらの品目が追加されることになります。
同記事には次のように記されている。
「新たに規制される半導体関連品目は、露光装置やレーザーなどの熱処理を行う製造装置、先端ICチップなど。量子コンピューター関連では、極低温冷凍機やゲルマニウム基板などが含まれる。半導体は精密誘導兵器に転用されて、計算機能を向上させる懸念があり、量子コンピューターは暗号解読機能の強化に利用される恐れがあるという。」
半導体と言えば、
政府が半導体関連の補助金を1.2兆円を公表したことが一時話題になりました。
「21世紀の原油」とまで呼ばれるようになった「半導体」(昨今では半導体工場は油田と呼ばれる)
この半導体は家電や自動車をはじめ、スマホやパソコンはもちろん、今ではAIにも半導体が使われています。
それによって自動運転まで実現可能にしてしまう半導体。今や先端企業だけでなく、我々の生活にも欠かせないものにまで成長・発展しました。
今や、半導体を制する者が、国家を制するとまで言われている程です。
そこで、この先さらに半導体技術が発展していく中で、各国で最も懸念されるのが、軍事兵器です。
例えば、今のミサイルというのは、皆さんが想像しているものよりも高性能(危険)なものになっています。
「北朝鮮が単にミサイルを発射して、落下しました」ではありません。
先ほどの記事にあったように、今のミサイルは精密誘導を可能にする技術があります。
ミサイルを発射して、その先の目標にあるのが、動物なのか?人間なのか?そもそも敵か?味方か?戦車なのか?自動車なのか?を瞬時に精密に処理し、ピンポイントでの襲撃が可能になっているようです。
このミサイルの中には、大量の最先端半導体が組み込まれています。
これにより、訓練を受けてない素人が適当に発射しても、目標に命中させてしまうというのが半導体の能力です。
素人が訓練で時間をかけ仕立て上げられたガンマンにならずとも、半導体が命中させてくれます。すべての能力は半導体がこなしてくれるといっても過言ではありません。
こういった追跡弾道ミサイルなどの核兵器や大量破壊兵器などの最先端を担っているのが半導体産業でもあります。
つまり、半導体の性能は国家の強さ(国防の性能)と直結しているということです。
そのため、特に先進国ではこの先端半導体の使用目的に血眼になっている状況です。
本来であれば、DX(デジタルトランスフォーメーション:企業がデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを根本から革新する取組)をはじめ、産業機器の高精度化による業務効率の向上、その他、私たちの生活をよりよくする用途がありますが、
一方で、国家を脅かす軍事兵器の高性能化などにも使用できてしまいます。
日本の安全保障貿易管理制度と同等の輸出管理制度を整えている、いわゆるホワイト国(輸出令別表第3の地域)と呼ばれる国は現時点では196か国中27か国しかありません。
世界の覇権と日本の未来の鍵を握るというのは、安全保障と直結しているのでしょうか。