
輸出許可申請は規制対象の貨物について、輸出の許可を得るための手続きです。
規制対象であっても許可を得ることが出来れば輸出できます。
また、規制には貨物の他に「技術(情報等)」の提供にかかる規制もあり、規制対象となる取引を行う際は貨物同様に事前に許可申請手続きが必要です(役務取引許可申請)。
輸出許可申請・・・貨物(モノ)を輸出する場合
役務取引許可申請・・・技術(情報等)を提供する場合

該非判定や要件確認等での結果、規制対象となり輸出許可申請が必要となった貨物や技術を輸出する場合、事前に経済産業大臣の輸出許可を取得しなければいけません。
許可申請手続きは、輸出する貨物の規制該当項番(1~15の項)と仕向地(輸出先国)の組み合わせにより異なります。
また、審査はその貨物の買主および需要者(使用する者)、使用の目的にも及ぶため、取引内容や相手によって提出書類が異なることもあり、案件によって難易度が変わります。
以下、輸出許可申請手続きの流れについて詳細をご説明します。
1.申請窓口および必要書類の確認
許可申請窓口は、大きく次の二つの窓口に分かれます。
許可申請手続きは、輸出令別表1の該当項番(1~15の項)と仕向地(輸出先国)の組み合わせによって、申請窓口と必要書類とが異なります。
※経済産業省安全保障貿易管理のサイトにて確認可
2.申請窓口
許可申請窓口は、大きく次の二つの窓口に分かれます。
①経済産業省(本省)
経済産業省安全保障貿易審査課
所在:東京都千代田区霞ヶ関1丁目3番1号
②経済産業局/通商事務所
最寄の局で申請可能
(関東近郊の場合の例)
関東経済産業局総務企画部国際課貿易管理室
所在:埼玉県さいたま市中央区新都心1-1
※関東経済産業局東京通商事務所は2024年6月末に廃止され上記に業務移転
上記1で記載の通り、窓口は該当項番と仕向地の組み合わせにより異なります
(申請者が自由に選べるものではありません)。
3.必要書類
申請に必要な基本書類は該当項番(1~15の項)と仕向地(輸出先国)の組み合わせにより異なり、全部で13のパターンがあります。
そのため、今回の輸出許可申請がどのパターンに該当するのか確認する必要があります。
提出書類の例として、次の様なパターンがあります。

<提出書類Cの場合>
・輸出許可申請書(様式あり)
・輸出許可申請内容明細書(様式あり)
・誓約書(EUC)(様式あり)
・取引契約書等
・該非判定書
・製品のカタログ等
・需要者等の存在確認資料
<注意点>
契約書等は任意様式になりますが、具体的な取引内容の表示が求められるため、事前に要領等の確認が必要です。
また、需要者の存在確認資料には登記簿謄本等の公的資料が望ましくはありますが、国や需要者によって用意できないこともあります。その場合は、別の資料等を用いて存在を証明します。
その他、取引内容や需要者の状況によっては上記以外の資料が必要になることが多々あります。
なお、国際取引の為あらゆる言語の書類がありますが、原語資料には翻訳(日本語または英語)が必要となります。
また、申請様式の「誓約書」は相手方の署名資料のため、多くの場合英語による作成となります。
当事務所では、英文書類作成にも対応しております。
4.審査
審査は、①形式審査と②内容審査があります。

①形式審査(申請~受理)
形式審査では、申請に必要な書類等について不備がないかの確認です。
輸出許可申請の書類審査は厳しく、不備がある場合は受理に至りません。
また、案件によっては規定以外の資料を求められることも多々あります。
一旦受理され追加提出で良しとされる場合もあれば、その資料がなければ受理されないケースもあります。
輸出許可申請は、申請者自身が申請しようとする案件の特殊性を事前に認識できるか否かで審査期間に大きく影響します。
無事受理されると、整理番号が発行されます。
②内容審査(受理~許可決定)
内容審査では、取引の内容について細かく審査が行われます。
輸出許可申請の対象となる貨物は、武器の他、武器の開発や軍事転用が可能と懸念されるハイスペックな貨物や技術であるため、国際社会の安全保障の観点から厳しい審査となります。
輸出許可申請の特徴は、「取引の安全性」を審査するところにあります。
輸出する貨物の種類と仕向地(輸出先国)の組み合わせにより手続きが異なる理由は、貨物が持つ危険性(流用性)と仕向地の国際安全保障の懸念性の高さにより審査が異なるからです。
また、需要者の構成や取引相手、事業内容と貨物使用目的の整合性等も審査されます。
内容審査の過程で、新たな追加資料を求められることもあります。
申請では一連の取引について正確に説明できることがポイントと言えます。
このように輸出許可申請は、一般的な行政手続きとは異なる特徴を持っているのです。
5.審査期間
審査期間は申請が受理されて「原則90日以内であり、90日を超え る場合には申請者に事前に通知」とされていますが、経験上では受理後局窓口案件は約2週間、本省窓口案件は3~6週間(案件等により異なります)程度が一般的です。
よくあるご相談として、「申請書類が整わず申請・受理にたどり着かない」、「申請しても不備が多く一向に審査に進まない」ということがあります。
当事務所では、案件に応じて必要となるエビデンス資料等含めご案内の上、申請書類の作成から申請手続き、許可証の受領までスピーディーに対応させて頂いております。
6.輸出許可と許可条件

審査が無事終わると、輸出許可申請書に経済産業大臣の記名が付された輸出許可証が発行されます。
許可証には、許可番号と有効期限、許可条件等が記載されます。
有効期限は通常6ヶ月にて発行され、輸出者は期限内に輸出しなければなりません。
また、案件毎に許可条件等が付される場合もあります。
代表的な許可条件として「再輸出に係る事前同意手続き」があります。
輸出許可申請のポイント
以上が輸出許可申請手続きの流れとなりますが、先述のとおり一般的な行政庁の許可手続きとは異なる特徴を持っています。
提出資料の多くは、申請者にかかる書類ではなく取引相手についての情報・資料を収集しなければなりません。
申請者自身が申請しようとする案件の特殊性を事前に認識できるかによって、許可を得るまでの期間を大きく左右します。
また、経産省が求める資料の中には、取引相手の理解や協力を仰ぎづらいものもあるため、出来る限り追加資料の要請等をなくし、審査期間を長引かせないようにしたいものです。
審査が長引くことで、本来の取引に影響がでることもあるかと思います。
当事務所では、案件に応じて必要となるエビデンス資料等含めご案内の上、申請書類の作成・申請手続き・許可取得までスピーディーに対応させて頂いております。
輸出許可申請手続きでご不明な点等ありましたら、どうぞお気軽にお問合せ下さい。
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料金のご案内
各手続きは輸出取引内容によって難易度が異なるため、下記料金の範囲内で個別にお見積りを出させて頂きます。
下記手続きは、書類の作成(申請様式一式、英文EUC・事前相談要請書、事情説明書等を含む)、経済産業省(または局)への申請、許可取得までの一連のサービスを包括しています。
なお経産省への許可申請手数料はかかりません。
※下記費用の他、交通費および郵送費の実費がかかります。
ご不明点等ございましたら、お気軽にフォームよりご連絡ください。
手続き内容 | 料金 |
該非判定書・非該当証明書作成 | 20,000~円 |
実機測定+該非判定書(6の項のみ) | 上記金額+80,000円 |
(個別)輸出許可申請 | 44,000~200,000円 |
(個別)役務取引許可申請 | 44,000~240,000円 |
輸出者遵守基準・CP対応サポート | 70,000円~150,000円 |
事前同意手続き | 80,000円~180,000円 |
その他相談(該非判定・輸出手続き等) | 11,000円~ |
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