役務取引許可


役務取引許可申請とは、規制対象となる技術(情報)等を輸出する場合に必要となる許可申請手続きです。

輸出者は貨物と同様、規制対象となる技術(役務取引)の有無について確認が必要です。

 

役務取引許可申請・・・技術(情報等)を提供する場合

 

では、技術とはどのようなものを指すのでしょうか?

 

技術とは「貨物の設計、製造または使用に必要な特定の情報」を指しており、役務取引許可申請はそれらの技術の「提供取引」について許可を得るものです。

 

また、技術の提供取引とは、

 

①特定の技術を外国に向けて提供する取引、

②居住者が非居住者(※詳細定義あり)に対して提供する取引、

③国外で提供するために持ち出すこと(メール送信も含まれる)を指しています。

 

このように、特定の技術(情報)特定の者提供する場合に許可が必要となるのです。

以下、役務取引許可申請について詳細を説明いたします。


 

技術と提供

先述のとおり技術とは、「貨物の設計、製造または使用に必要な特定の情報」を指しています。

これらの情報は、「技術データ」または「技術支援」のいずれかの形で提供されると考えられ、それぞれ次の様な提供手段に分類することができます。

<技術データ>

・文書やROM等に記録された設計、仕様書、

 説明書、マニュアル等

・プログラム

<技術支援>

 ・技術指導、技能訓練、技能知識の提供、

 コンサルサービス等

 

設計 製造 使用
製造過程の前段階 製造工程 使用するために必要な技術

表:貨物の設計製造または使用に必要な技術の例

 


許可が必要となる特定の技術

しかしながら、上記の技術の全てにおいて、役務取引許可の対象となるわけではありません。

対象となる技術は「貨物の設計、製造または使用に必要な特定の情報」です。

技術は、「外国為替令別表」(外為令別表)に該当する技術を指しています。

各項番毎に対象となる貨物について、役務取引の対象となる技術が定められています。

※項目別対比表、外為令及び貨物等省令のマトリクス表で確認可

 

また、当該貨物は基本的に「輸出貿易管理令別表第1」に掲げられている貨物を指しています。

ただし、輸出貿易管理令別表第1に該当しない貨物であっても、その設計、製造、使用に係る技術が外為令別表に該当する場合もあります。

例えば、木工用の工作機械は貨物として原則該当しませんが、もし5軸の輪郭制御プログラムを備えている場合は、数値制御装置に係るプログラム技術として、6(3)-1に該当することになります。

貨物同様、技術についてもメーカーや技術者によるしっかりとした該非判定が必要です。


許可を要しない役務取引

上記のような役務取引の対象となる技術であっても、許可が不要となるケースもあります。

外国為替令貿易外省令9条「許可を要しない役務取引等」

当該省令においては、次のような許可を要しない複数の取引について定められています。

なお、不要となる場合は、許可を要しない役務取引の該当条項を該非証明書等に記載し、内容が特定できるよう管理することが重要です。

・公知の技術(書籍や通信ネットワーク、学会誌等で既に不特定多数の者に公開されている技術)

・貨物の輸出に付随する必要最小限の使用の技術(使用説明書等)

・貨物と同時に提供される貨物専用の使用プログラム(いかなる形でもソースコードが提供されない)

同省令においては、上記以外にも許可を要しない技術が複数あります。

詳細は別ページ「許可不要の例外・特例等」のうち「許可を要しない役務取引」をご参照ください。

 


役務取引許可申請手続き

 役務取引許可申請は輸出許可申請同様、外為令別表の該当項番(1~15項)と仕向地(輸出先国)の組み合わせによって、申請窓口と必要書類とが異なります。

また、役務取引は提供する技術と提供方法が多様なため、申請様式やその他必要書類については案件により様々です。

提出書類の例として、次の様なパターンがあります。

<提出書類TCの場合>

・役務取引許可申請書(様式)

・申請理由書(様式)

・誓約書(EUC)(様式)

・取引概要説明書(様式)

・提供技術説明書(様式)

・取引契約書等

・外為令別表の項目対比表等

・製品のカタログ等

・需要者等の存在確認資料

 

<注意点>

契約書等は任意様式になりますが、具体的な取引内容の表示が求めらるため、事前に要領等の確認が必要です。

その他、取引内容や需要者の状況によっては上記以外の資料が必要になることが多々あります。

なお、国際取引の為あらゆる言語の書類がありますが、原語資料には翻訳(日本語または英語)が必要となります。

また、申請様式の「誓約書(EUC)」は相手方の署名資料のため、多くの場合英語による作成となります。

当事務所では、英語書類作成にも対応しております。

各様式に記載する事項とエビデンス資料の整合性がなければいけません。

提供する技術内容や手段、提供する場所、特性、目的、理由等を正確に説明することがポイントです。

なお、提供する技術がプログラムの場合は、貨物の輸出許可申請と類似した手続きとなります。

また、審査期間や許可証の発行等は、輸出許可申請とほぼ同様となります。


役務取引許可申請のポイント

以上が役務取引許可申請手続きの流れとなりますが、取引内容によっては、輸出許可申請以上に複雑な手続きとなる場合もあります

先述のとおり、提供する技術内容や手段、提供する場所、特性、目的、理由等を正確に説明し資料化することがポイントです。

また、上記は最低限必要な書類であり、案件毎に補足説明資料等を用意することも多々あります。

出来る限り追加資料の要請等をなくし、審査期間を長引かせないようにしたいものです。

当事務所では、案件に応じて必要となるエビデンス資料等含めご案内の上、申請書類の作成・申請手続き・許可取得までスピーディーに対応させて頂いております。

役務取引許可申請手続きでご不明な点等ありましたら、どうぞお気軽にお問合せ下さい。