
安全保障貿易管理において、「該非判定さえ終われば輸出できる」と考えている方も少なくありません。
しかし、経済産業省のガイダンスでは、該非判定と並んで「取引審査」が重要な管理項目として位置付けられています。
取引審査とは
取引審査とは、輸出しようとする貨物や技術が、誰に、どのような目的で使用されるのかを確認し、安全保障上の問題がないことを判断する手続きです。
一般的には次の流れで実施します。
- 用途確認
- 需要者確認
- 社内審査・決裁
- 必要に応じて経済産業省へ許可申請
用途確認と需要者確認は、どちらを先に行っても問題ありません。
取引審査で確認すべき4つのポイント
経済産業省は、取引審査において次の4点を重視しています。
① 需要者へ確実に届くか
契約内容や輸送経路に不自然な点がなく、貨物や技術が本来の需要者へ届くことを確認します。
② 需要者が適切に使用するか
需要者の事業内容と貨物・技術の用途が整合しているかを確認します。
③ 軍事転用等のおそれはないか
大量破壊兵器開発や軍事用途への転用リスクがないかを確認します。
④ 適切に管理されるか
設置場所や利用場所が明確であり、アクセス管理などが適切に行われることを確認します。
外国ユーザーリストだけでは不十分
需要者確認の際によく利用されるのが「外国ユーザーリスト」です。
しかし、外国ユーザーリストはあくまで参考資料です。
- リストに載っていないから安全
- リストに載っているから即輸出不可
というものではありません。
契約書、会社情報、メールのやり取り、用途説明などを総合的に確認した上で判断する必要があります。
国内取引でも注意が必要
取引審査は輸出者だけの問題ではありません。
国内販売であっても、
- 輸出されることが明らかである
- 該非判定書の提出を求められている
- 海外向け案件であることが分かっている
といった場合には、輸出に準じた確認を行うことが望ましいとされています。
継続取引でも再確認が必要
長年取引している相手だからといって、永続的に安全とは限りません。
需要者の事業内容や株主構成、代理店、最終需要者などが変化する場合もあるため、継続取引においても定期的な見直しが必要です。
まとめ
安全保障貿易管理において重要なのは、「該非判定」と「取引審査」の両方を実施することです。
取引審査では、
- 用途確認
- 需要者確認
- 軍事転用リスク確認
- 管理状況確認
を行い、その結果を記録として残すことが求められます。
該非判定が正しくても、用途や需要者の確認が不十分であれば輸出管理上のリスクは残ります。
安全保障貿易管理を適切に行うためには、「何を輸出するか」だけでなく、「誰が、何のために使用するのか」を確認することが重要なのです。